相続人が誰もいない…
こんにちは。福岡市西区姪浜の司法書士井手誠です。
もう今年も半年が過ぎましたね。あっちゅーまです。
30歳過ぎてから、時の流れるのがよけい早く感じます。なぜ?
先日あったご相談です。
ある人がお亡くなりになって、その人は不動産の持分をお持ちですが、生前の親族付き合いが薄く、もしかすると借金があるかもしれないからといって、相続人該当者全員が相続放棄をしてしまい、法的な相続人が誰もいなくなってしまいました。
身寄りがいない場合の相続人がいない、もあれば、今回のケースのように親族はいるが全員が相続放棄して相続人がいなくなることもあります。
こういう場合、そのままにしておくのも居心地悪いと感じる方が多いらしく、相談にお越しになります。
さぁ、いったいどうしたらいいのでしょうか?
実は、法律でこういう場合の処理の仕方について定めています。
法律上は、ざっと以下のような流れになります。
①相続財産管理人選任の申立て(家庭裁判所)
↓
②公告・催告
※相続財産管理人選任公告 2か月
※債権者・受遺者に対する債権申出公告 2か月以上
※相続人捜索公告 6か月以上
↓
③相続人不存在の確定
↓
④特別縁故者への財産分与の申立て(3か月以内)
↓
⑤特別縁故者への遺産の引渡し(認められれば)
↓
⑥残った分は国庫へ帰属
注意すべき点としては、今回のように不動産持分があった場合、上記の特別縁故者に分与されない限り、民法255条に基づいて他の共有者に帰属することになることです。
*民法255条*
「共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。」
*最高裁判所平成元年11月24日判決*
「共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その持分は、民法958条の3に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、法255条により他の共有者に帰属することになると解すべきである。」
①の申立ては、利害関係者(例:亡くなった方へお金を貸している人、特別縁故者など)が行い、その際に公告費用や管理人報酬に充てるため数万円~数十万円(※事案による)を裁判所に予納しなければなりません。
流れをパッと見て分かるように、非常に時間もかかるし面倒くさく、しかもお金までかかってしまいます。
ですので、この相談者には、
①先にアクションする(不動産の他の共有者へのお知らせ)
②放っておく(不動産の他の共有者等が何か言ってきたときに協力するスタンス)
の二つをお伝えしました。
どちらを選ぶかは、相談者次第です。
もし①を選ばれる場合で、他の共有者が申立をされるとき、司法書士井手は以下の点でお役に立てます。
①家裁提出書類の作成(相続財産管理人選任申立書類その他附属書類や家裁とのやり取り)
②相続財産管理人(※ただし、家裁による選任必要)
③不動産登記(亡くなった方の名前を「相続財産」に変更、特別縁故者不存在だったときの、他の共有者への名義変更)
司法書士にできることは、けっこう多いのです。
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