司法書士は何の専門家?
司法書士法第1条では、次のように定められています。
(司法書士の使命)
第一条
司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。
したがって、『司法書士』は、何の専門家かと言うと、
登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家(プロ)です。
特に、不動産や会社・法人などの「登記(とうき)※」については、ほぼ唯一の専門家となります。
登記制度は、裁判制度とともに明治維新以降、不動産・法人・動産・債権・船舶・企業担保・財団などの実体上の重要な権利や義務を登記法により社会に向けて公示し保護しつつスムーズな取引を実現するために定められている日本の行政上の仕組みです。
訴訟については、弁護士と職務範囲は重なるものの裁判所に提出する書類の作成や簡易裁判所管轄であれば代理人として法廷に立ったりもします。
とは言え、普通に暮らしていて登記や訴訟と接する機会はそう多くありませんから、何のことやらよくわかりませんよね。
具体的な業務はいろいろありますが、司法書士は、法的な手続きをとおして
- 将来に起こるかもしれないトラブルの事前予防
- 現在発生している問題やトラブルの解決
をするための資格と言えます。
司法書士の具体的な業務は?
司法書士は、具体的にはどんなことするの?
よく聞かれます…
どんな業務を行うのか、これも、法律(司法書士法第3条、同第29条、司法書士法施行規則第31条)に定められています。
要約すると、
1司法書士全員ができる業務
- 登記・供託の手続きを代理すること
- 法務局に提出する書類を作成すること
- 裁判所や検察庁に提出する書類を作成すること
- 上記について相談に応じること
- 当事者や関係者の依頼や官公署の委嘱により、管財人や管理人等の地位につき他人の事業の経営、他人の財産の管理・処分を行うこと
- 当事者や関係者の依頼や官公署の委嘱により、後見人、保佐人、補助人等の地位につき、他人の法律行為について代理等を行うこと
- 司法書士業務に関する講演会の開催、出版物の刊行その他の教育を行うこと
2法務大臣認定の司法書士だけができる業務
- 簡易裁判所において、次の手続きを代理すること
- 民事訴訟
- 裁判上の和解・支払督促
- 証拠保全・民事保全
- 民事調停
- 少額訴訟債権執行
- 140万円以下の紛争について、法律相談に応じることと、裁判外の和解(示談交渉)すること
- 140万円以下の筆界特定手続きにおいて、相談に応じ、代理すること
※当事務所の司法書士(井手)は、法務大臣の認定を受けておりますので、上記の業務をすべて行うことができます。
※上記はできることを難しい言葉で羅列しているに過ぎませんから、実際の業務内容については、個人向けサービスと法人向けサービスに大きく分けて、代表的なものを案内しています。ぜひご覧ください。
司法書士の歴史は?
- 1872(明治5)年
太政官無号達 司法職務定制度(代言人・代書人・証書人制度)の誕生
※代言人(今の弁護士)、代書人(今の司法書士)、証書人(今の公証人) - 1919(大正8)年
司法代書人法制定(司法代書人と一般代書人に分離)
- 1927(昭和2)年
日本司法代書人連合会創立(裁判所管轄)
- 1935(昭和10)年
名称改正(「司法書士」に変わる)
- 1950(昭和25)年
新司法書士法成立(国の全面的な監督権廃止)
- 1978(昭和53)年
国家試験制度の導入
(民法・商法・会社法・刑法・登記法・供託法・民事訴訟法・執行法等) - 1985(昭和60)年
登録事務の移譲
- 2002(平成14)年
簡易裁判所における訴訟代理権付与
司法書士の歴史は、明治政府のもと、約140年前に始まりました。
司法制度を支える基本的な職能として、代言人・代書人・証書人が定められ、特に、代言人・代書人は、裁判権の円滑な行使に不可欠な存在として位置づけられたようです。 これは、当時の識字率の問題や教養の問題などによるものでしょう。
もともと、現在の司法書士の独占専門分野である「登記」は裁判所管轄でした。
すなわち、伝統的に、司法機関である裁判所に対する書類の作成がお仕事だったわけです。
だから「司法」書士なんです。
しかし、今は平成14年に簡裁代理権が認められたことによって、司法書士にできることが大きく増え、より広く 国民の皆様のお役にたてるようになっています。