株主が死亡したら
会社は、誰のものか?
社長のもの、社会のもの、地域のもの、社員全員のもの、オレのものなど色々な答えがあるだろう。しかし、会社法という法律の観点からすると、実質的な所有者は「株主=出資者」のものと言える。
ここで少し考えて頂きたいのは、もし株主が死亡して相続が発生したらどうなるのか?ということだ。事例を見てみよう。
【事例】『L株式会社には、株主が3名おり、Aさん100株・Bさん200株・Cさん300株を保有している。今般Cさんが亡くなり、相続人はCさんの子供2人であった。』
よくある誤解だが、この場合、Cさんの株は、相続人に150株ずつ相続されるわけではない。遺言がない限り、2人で300株を共有するかたちになる。
さて、会社側から見た場合、Cさんが死亡したときに考えられるリスクとしては、何があるのか?大きく以下の3点を挙げる。
①事例の場合、Cさんの株の相続人を決めるか又は権利執行者を指定しない限り、株主総会で重要事項の決定が一切できず、会社の運営がストップしてしまう可能性がある。
②Cさんの相続人が良からぬ人物(反社会的勢力に属する者)である可能性がある。
③Cさんの相続人が、株を第三者に売って株式譲渡承認請求をしてくる可能性がある。怖いのは、請求されたら、拒否するにしても会社が買い取るか又は指定買取人が買い取らねばならない点だ。つまり、突然のキャッシュアウトを強いられかねない。
その他、株主代表訴訟やクーデターも起こり得る。以上のように、株主の相続は会社にとって重要な問題であり、早めの対策に勝るものはない。いざとなって慌てないよう、まずは、定款の見直しから始めよう。
BisNavi201202月号掲載