中小企業の事業承継①
「事業承継」が声高に叫ばれるようになって久しい。国も経営承継をスムーズに行えるよう法律を作り、いろんな施策を打ち出しているが、遅々として進んでいない印象だ。
会社が現在存続できているのは、資金を出した株主やお客様、取引先、従業員があってこそ。会社は、彼らの生活等を支える役割を担い、社会的には納税をはじめとして諸般に渡り存在意義を有している。すなわち、会社が存在することの重みは計り知れないものがあり、現経営者や大株主にとって「事業(経営)の存続と発展」をどうするか、は真剣に考えなければならない経営課題の一つであることは間違いない。
しかし、日本人の気質とでもいうべきか、事業承継対策の必要性について、頭の中ではわかっていても、差し迫らないと動かない傾向が強い。どこから手を付けていいかわからないという声も聞くが、経営者は、あくまで会社経営の存続を第一義に、
・経営の承継(理念・人・物・金・情報…)
・経営者の交代
・資産の承継
の3点について、「方向付けを行うこと」が責務である。これは現経営者にしかできないことだ。そして、方向付けを行うのに有効なのは、専門家の意見を聞くことだが、気をつけなければならないのは、1人だけまたは同職種の専門家だけに意見を聞くことだ。というのも、経営そのものは、税務・法務・労務・財務・ビジネスなどが複合的に絡み合っているため、一方の対策にはなっても、別の観点から見ると大きな問題になることが往々にしてあるからだ。ミスリードに合わないよう総合的な視点を忘れないようにしたい。
もしあなたが事業承継対策の必要性を感じているなら、行動しなければ何も始まらない。上記の注意点を守りつつ、まずは身近な専門家に相談してみよう。
BisNavi201301月号掲載