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企業法務コラム

SNSでの名誉棄損②

前回、SNSで会社の悪口を書かれた場合の対処として、警告文発送や名誉棄損による損害賠償請求、刑事告訴などの方法が考えられるとお伝えした。今回は、名誉棄損のよくある誤解や注意点について述べる。

【よくある誤解】

①名誉棄損で保護されるのは、あくまで外部的名誉(その人に対して社会が与える評価)だ。例えば、誰もいないところで面と向かってひどいことを言われたとしても、何らその個人や法人の社会的評価を低下させるわけではないので、原則として名誉棄損は成立しない。

②「本当のことを言っただけだ」などと仰る方もいらっしゃるが、発言や書き込みの内容が真実であったとしても、名誉棄損は成立する。

ところで、「社会的評価を低下させる」と一口に言うが、はたしてその発言や書き込みがその人の評価を低下させるものかどうか、受け止める人によって異なることもある。どうやって判断したらよいのだろうか?おおむね確立された裁判例によると、新聞や雑誌なら「一般読者の普通の注意と読み方」を基準に判断するとなっている。

インターネット特有の問題点としては、ハンドルネーム等を使用することに伴う書込者の匿名性が挙げられる。実名で投稿しているならともかく、匿名で書き込まれている場合、間違いなくアイツだろう、と分かったとしても、原則としてまずはプロバイダやサイト管理者に対し、書込者を特定する手続きを経なければならないのである。確かに骨は折れるし、費用もかかるだろうが、会社としては、毅然とした態度を外部にも内部にも示す必要があるだろう。

いざSNSで悪口を書きこまれたら、上記を参考にしながら、名誉毀損にあたるものなのか慎重に判断いただきたい。

BisNavi201305月号掲載