会社の重要情報を守る
企業経営において、契約交渉段階や契約履行時に、自社の重要な情報(製品や技術、ビジネスモデル、営業ノウハウなど)を、ある程度相手方に開示することや相手方から開示されることは珍しくない。重要に思えることを結構簡単に言っている人や面倒くさいからと言って何もせずに交渉開始する人をお見かけするが、果たして、その情報は漏えいされないのだろうか。社長は、このような危険極まりない行為をする担当者がいたら自社の信用にもかかわるので雷を落とさなくてはならないだろう。
上記のような場合は、会社にとって重要な情報(秘密情報)を保護するために、「秘密保持」に関する契約を契約交渉の前段階で締結することをお勧めする。この契約は、当事者の一方から他方に提供される情報を、契約をもって秘密として取り扱うことを内容とするものだ。確かに、契約書に記載しなくても不正競争防止法などで保護される場合もあるが、法で定める要件に合うことが必要であるし規制される行為も限定されるので、できれば契約を交わしておきたい。
では、どんなことを定めておけばよいのだろうか。一般的には、①秘密情報の定義及び秘密情報から除外される事由②秘密保持義務及びその期間③秘密情報管理④秘密情報開示の不存在⑤知的財産権の帰属⑥その他一般事項(損害賠償、解除etc)などの条項である。特に①②は、自社が情報を提供する側なのか又は情報を提供される側なのか、の視点によって内容が異なることもあるため、どちらに軸足を置くかしっかり整理することが必要である。
全社的な取り組みにはなるが、ぜひ経営者が率先して自社の重要情報保護に前向きに取り組んで頂きたいものである。
BisNavi201309月号掲載