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企業法務コラム

経営者保証に関するガイドライン②

前回は、「経営者保証に関するガイドライン」成立のアナウンスと成立に至る背景を記した。続けて、ガイドラインの概要を紹介する。カタい話が続くが、経営者が知っておきたい内容なのでご容赦頂きたい。

ガイドラインの概要は、以下のとおり。

1 保証契約時の対応

(1)経営者保証に依存しない融資の一層の促進

(2)経営者保証の契約時の金融機関の対応

(3)既存の保証契約の適切な見直し

2 保証債務の整理手続

(1)経営者の経営責任の在り方

(2)保証債務の履行基準

(3)保証債務の一部履行後に残存する保証債務の取り扱い

以上の概要を見ても分かるとおり、このガイドラインでこれまでの金融機関と保証人の関係は大きく変わると言っても過言ではない。内容をざっくり要約すると、

① 一定の要件を満たす経営状況にある会社の場合、経営者やその親族、後継者その他第三者による保証は認めない

② 金融機関は、保証契約の必要性について丁寧かつ具体的な説明を行い、過度でない適切な保証金額の設定をする

③ 既存の保証契約をすべて見直す

④ もし破産等する場合でも、経営者の手元に財産をできるだけ多く残せるよう検討する

の4点である。いずれも経営者にとっては重要な内容であることは間違いない。 

ところで、ガイドラインそのものは、あくまで関係者が取り組むことが望ましいとされる指針や基準を示したに過ぎず、法的な拘束力はない。しかし、中小企業庁と金融庁が力を入れているだけあって、金融機関はこれに反する行動はできないだろう。やはり、しっかり情報を収集して、積極的に行動することが、自分自身ひいては自分の家族を守ることに繋がるのだ。確かに考えるのが面倒な事ではあるのだが、“もしも”に備えて「守り」も意識的に行おう。

BisNavi201405月号掲載