3年後、契約ルールが変わるかも
今年2月下旬に各メディアで取り上げられたことから感度の高い方はご存知かと思いますが、企業や個人の契約ルールなどを定めた「民法(債権関係)」の改正が現実味を帯びてきています。日本政府は、3月31日に民法改正案を衆議院に提出していて、今国会での成立を目指しています。仮に、今国会で成立した場合、早ければ平成30年を目途に施行される見通しです。
今回のような民法の大幅な見直しは、明治29年の制定以来初めての出来事で、5年かけて議論が進められた中で改正項目は200以上に及び、多様化した現代社会や経済情勢の変化に対応して国民に分かりやすいようルールの透明性を高めるのが狙いです。各新聞紙面では、勢いよく「消費者保護」というフレーズが踊っていますが、かなりミスリードの感が強く、実際には基本ルールの整備以上でも以下でもありません。
大きな改正点の一つに「約款に関する規定」があるので、そのような誤解を生じているものと思います。約款を巡っては、経済団体との間で一悶着ありましたが、インターネットでの買い物が一般的になっている中で、消費者が約款をほとんど読まずに契約し、トラブルに発展するケースが相次いでいることが背景にあって、法的な位置づけが曖昧なことから今回明文化する流れになっているところです。この約款規定、影響が大きい部分ですので、企業としては、動向に注意を払っておくのは当然のことと言えます。
3年なんて、そんな先のこと…と思われるかもしれませんが、上記の約款も含め契約ルールの大幅な見直しであるため、いざ施行されてからでは、まず対応が間に合いません。新しいルールに適合できるよう3年かけて徐々に社内の契約書の整備や業務の改善を進めましょう。あ、もちろん国会で改正案が可決してからで構いません。
BisNavi201505月号掲載