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企業法務コラム

経歴詐称が発覚したら?

数か月前にワイドショーを賑わせた○ョーン○氏の経歴詐称報道、覚えておられる方も多いでしょう。彼を起用したテレビ番組が複数あるにもかかわらず、なぜテレビ局はウラを取っていなかったのか、謎です。

それはさておき、社員を中途雇用する場合に、その人の経歴(能力や専門的知識も含む)を重視して採用したときは、経歴詐称は会社にとって重大な問題となり得ます。入社前にしっかりチェックして事前にはじくことができればいいのですが、入社してしまったとしたら…どうしたらいいのでしょうか?

入社後に経歴詐称が発覚したら、一般的には、「解雇」対応になるでしょう。ただ、解雇と一口に言っても、普通解雇(信頼関係が破たんしたことによる雇用契約解除)と懲戒解雇(非違行為に対する懲罰的な意味あいでの雇用契約解除)の2つがありますので、状況に応じてどちらかを選択することになります。

特に、懲戒解雇は、従業員というより労働者にとって非常に重い処分ですから、全ての場合で懲戒処分とできるわけではないことに注意が必要です。裁判例によると「真実を告知したならば採用しなかったであろう重大な経歴」にあたるか否かを判断の基準にしているようです。

また、経歴詐称はあったかもしれないけど、詐称せずに真実を告知していたとしても採用された可能性が高い場合や、その会社の業務に影響しない経歴であった場合は、解雇権の濫用として懲戒処分が無効とされた例もあります。

中途採用は、経歴を見込んでのものでしょうから、その経歴に詐称があれば、会社・従業員のどちらもいいことはありません。採用する場合は、その経歴の証拠となる何かを求めることは、最低限行っておきましょう。

BisNavi201606月号掲載