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企業法務コラム

ピコハラ?

インパクトある独特の歌詞とダンスで、世界的に大ヒットしたピコ太郎さんの「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」は、皆さんどこかで一度は耳にされたことでしょう。

この楽曲は非常に短いし、振り付けもそこまで難しくないので、会社の飲み会や忘年会の余興や一発芸で多用されているやに聞き及びます。

 する方も見る方も楽しんでいるのならいいのですが、一部では、上司に無理やりやらされたとか勤務時間外で練習させられたなどの声が上がっていて、飲み会の余興でピコ太郎さんの「PPAP」を強要するのはピコハラ、もといパワハラに当たるのではないか、と囁かれているとかいないとか。実際問題、どうなんでしょう?

 厚生労働省は、パワハラを「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義しています。さらに、パワハラにあたる具体的な行為を以下の6つの類型に分けています。

①身体的な攻撃(暴行、傷害等)

②精神的な攻撃(侮辱、名誉棄損、暴言等)

③人間関係からの切り離し(仲間外し、無視、送別会への出席拒否等)

④過大な要求(遂行不可能なことや業務上明らかに不要なことの強制等)

⑤過小な要求(能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えない等)

⑥個の侵害(私的なことに立ち入ること等)

 パワハラに該当するかは、あくまでケースバイケースですが、ピコハラの場合、その飲み会の費用を会社が負担せず、上司がある一定の者だけを対象として余興を行わせ、その者が苦痛に感じているのであれば、職場内の優位性を背景に業務の適正な範囲を超えて精神的な苦痛を与えたものと言えそうです。下手すると、会社も不法行為に基づく損害賠償請求されるやもしれません。

 飲み会の余興にも気を遣わないといけないのは何とも残念ですが、これも時代ですので、頭の片隅には置いておきましょう。

BisNavi201701月号掲載