民法改正、重要ポイントはここだ!
2年前から法案は提出されていたのに国会期限内に可決されず審議継続となっていた「民法の一部を改正する法律案」が、平成29年5月26日、ついに可決され、6月2日に公布されました。新しい法律は、3年以内に施行されます。
民法とは、家庭や社会生活のルールを定めた法律で、明治29年に制定されました。当時の状況が現在とは大きく異なることは、言わずもがなです。そこで、今回、特に企業や個人が行う経済活動に関する債権法(「誰かが誰かに対して何かを要求できる権利」についてのルール、例えば「売買」)の分野を現在の状況に合うよう、改正したのです。
改正点は200項目以上に及び、まさに大改正と呼べますが、企業にとって影響が大きいと思われる8項目に絞って、今回と次回の2回に渡ってご案内します。
1.意思能力のない者がした契約は無効
認知症の高齢者や重度の知的障害者、泥酔者など、判断能力のない者と契約しても無効となります。当然の原則を明文化したに過ぎませんが、意思確認はより重要になります。
2.短期消滅時効の廃止
飲食店のツケは1年、学習塾の塾代は2年、医師の診療報酬は3年などバラバラだった時効期間が、5年又は10年に統一されました。
3.融資に関する個人保証の原則禁止
事業資金の借入れに際し、個人を保証人とする場合、公正証書で保証契約されていないと無効になります。親族や友人知人にお願いすることは難しくなるでしょう。
4.法定利率の引き下げ
現行の法定利率は5%ですが、これは高すぎて訴訟を引き延ばすほど有利という批判があったため、当面3%とし、また3年ごとに見直すことができるようにしています。
施行は先ですが、新しいルールに振り回されないでいいように、少しずつ情報を入手しておきましょう。
BisNavi201707月号掲載