ラピス司法書士事務所 | 福岡市西区姪浜

ラピス司法書士事務所 お問い合わせ
お問い合わせ

企業法務コラム

「不倫」で会社が訴えられる?

今は食傷気味かもしれませんが、昨年から芸能人や政治家など、ある程度知名度のある方の「不倫」がお茶の間を賑わしているのはご存知のとおりです。

好奇心で眺めておられる方も多いと思いますが、実は、会社がこの「不倫」騒動に巻き込まれる可能性がある、ということはあまり知られていません。

そのそもはっきりと「不倫はダメだ」などと定めた法律はありません。が、民法で離婚事由の一つに挙げられており、不倫をすると民事上の不法行為による損害賠償請求の対象となってしまいます。

当事者は、不倫している二人とその被害者一名です(ダブル不倫だと、被害者二名)。

ん?会社は法人だから不倫は行えないし、当事者の中のどこにも会社が出てこないじゃないかと思う方、確かにそのとおりです。

しかし、例えば、不倫が業務中に行われるなど、仕事と密接に関連した場面で行われていた場合、不倫の被害者は、不倫の加害者が勤めている会社に対して、民法715条に定める使用者責任を求めて損害賠償請求を行うことができてしまうのです。

もちろん、訴えられたからといって必ず損害賠償しなければならないかと言えば、そうではなく、①社内(会社の施設)や社用車での移動中にコトに及んだ②原則として当事者が性交渉している③業務中に会社が従業員を適切に監督していなかった、などの要件を満たした場合に、使用者責任を認められることになります。

不倫の被害者からすると会社を訴えるハードルはそれなりに高いわけですが、探偵を雇って証拠をつかむケースも多々あるので、突然巻き込まれて、時間的・精神的・費用的に消耗するのは本当に避けたいところです。

SNSが発達し出会いの場が増えた今日、人間、いつ魔がさすか分かりません。従業員が不倫したときの対応や、業務中に良からぬことをできないような業務体制の整備について、考えておくといいかもしれませんね。

BisNavi201709月号掲載