絵に描いた餅
企業からよくある質問の一つに、取引先や顧客が売掛金を任意に支払ってくれないのでどうしたらいいか?とか、連絡が取れなくなったが今から何ができるか?とか、裁判所から何かしら通知が届いたけどこれどういう意味なのか?など、売掛金の回収に関するものがあります。
残念ながら、このタイミングで相談してくれてよかったと思うことは少なく、なぜもっと早く対処しなかったのか、できることはそう多くないと感じることもしばしばです。
相手が任意に支払ってくれなかったら、まずは話し合いをすることになりますが、話し合いが成立しない、話し合いが成立しても結局支払わなかった、話し合いをすることすらできない、などの場合、最終的には、訴えを起こすしかありません。そして、「被告は原告に対して●万円を支払え」との勝訴判決を得たうえで相手の財産(預貯金、不動産、自動車や動産など)に強制執行をする、という流れになります。
よく誤解されているのですが、判決を取っても相手が支払わない場合は、企業側から相手の財産を特定(預金なら、金融機関名+支店名)して強制執行する必要があり、裁判所が相手方の財産を調べて差し押さえてくれるなんてことはありません。
もし、相手の財産が特定できなかったら、または特定できたとしても換金価値がなかったら、せっかく費用と時間をかけて得た勝訴判決は、まさに「絵に描いた餅」にしかならないでしょう。 ですから、上記のことを踏まえたうえで、継続的な関係を持つ取引先とは、契約書を交わすのは当然のこととして、契約締結前から良好な取引をしている最中に、水面下でどんな財産を持つのか調査しておく必要があります。なかなかそこまで備える企業は少ないですが、いざというときにモノをいうのは情報です。どんな情報を、どんなタイミングで、どのように収集するのか、検討されたい方はいつでもご相談ください
BisNavi201710月号掲載