注意!1人株主1人役員の会社
現在、株式会社を設立するにあたって、出資金(資本金)は1円以上であれば大丈夫ですし、出資者=株主が1人でも構いません。格段に株式会社が設立しやすいため、株主が1人だけの会社が激増しています。
株主が1人であることのメリットは、経営の意思決定を自分だけで迅速に行うことができる点にあります。逆に、デメリットは、その株主に次のような「もしも」が起こった場合、会社経営がストップしてしまう可能性がある点となります。
①1人株主が死亡したけれど、相続人の間で誰が株式を相続するか話し合いがまとまらない場合
②1人株主が認知症や不慮の事故などで意識不明の状態になった場合
1人株主の場合、多くは1人役員となっています。もし上記のようなことがあったら、法的には株主総会を開いて後任の役員を選任することになりますが、相続人の中で争いがある場合などは特に、株主総会を開けないとか強行しても決議の有効性を巡って裁判で争いになるということが往々にしてあります。つまり、株主総会が開けない=役員不在=誰も会社の業務を執行できない=会社経営できない、ことになります。まぁ、これは極端な例かもしれませんが、会社経営の継続を考えた場合、1人株主の会社は、そういったことが起こり得ると想定して危機管理しておくことが大事でしょうし、その対策を行っておくことは経営者の責任でもあります。
1人株主の会社と取引をしている相手方の会社にとってもこのことは重要で、もしかすると将来取引継続できなくなるかもしれない、というリスクを分かった上で付き合っておくと、いざというとき慌てなくてすみます。
人間いつどうなるか、は誰にも分かりません。ですが、対策は現時点でもできます。後は野となれ山となれ、では残された者が大迷惑を被るので、道筋だけはつけておいて頂きたいと思います。
BisNavi201803月号掲載