予約のドタキャンによる損害
7月11日の日経新聞では、予約を入れながら当日来店せず、連絡もない無断キャンセルへの対応で、飲食業界は独自に対応ルール作りに動き出した、と報じていました。
無断キャンセルは、売上の減少、人件費の無駄、食材のロス、従業員の士気低下、店内の盛況感の低下など飲食店では頭の痛い問題だと思いますし、どう対応していいものか悩んでおられる方も多いことでしょう。
法的には、予約者による指定日時での飲食物提供の申込みと飲食店側によるその承諾がなされたことで、契約が立派に成立しています。そして、契約で定めてない以上、当事者から一方的に解約(キャンセル)することはできません。したがって、無断キャンセルされた場合、被害を回復したいなら予約者に対し、原則として債務不履行による損害賠償請求を行うことになります。実際には、予約成立の有無や損害額の算定、相手方の特定など一筋縄でいかない点もありますが、今年3月、40人の宴会予約を無断キャンセルした人に対して店主が怒りの損害賠償請求訴訟を提起し、勝訴した実例もあるようですから、腹に据えかねるなら泣き寝入りしなくても良いということだけ覚えていれば良いと思います。
ま、一番いいのは無断キャンセル防止の方策(ホテル宿泊キャンセルのように事前にキャンセル料の了解を取り付けておく、3日前に確認電話がつながらない時点でキャンセルとみなす、など)を厭わずにやることで、これだけでも相当数は防げるでしょう。
ところで、予約の無断キャンセルは、飲食店に限った話ではありません。一つ一つのキャンセルによる損害はごくわずかなものかもしれませんが、塵も積もれば山となります。自社が損害を被るようなキャンセルをいかに賢く防ぐか経営者の腕の見せどころですので、一度知恵を絞ってみてはいかがでしょうか?
BisNavi201808月号掲載