従業員の副業解禁に潜む罠
6月は、「年金以外に夫婦で2000万円の金融資産が必要」とする金融庁審議会の報告書とお笑い芸人らによる闇営業問題の話題で持ちきりの感がありました。
上記のうち、2000万不足問題については、実際に報告書を読むと分かりますが、メディアや野党議員の批判は、取り上げるのも馬鹿らしいほど正鵠を得ていません。経営者の皆様には、ぜひ報告書そのものに目を通していただきたいものです。
それはさておき、もう一つの、あるお笑い芸人Iが所属事務所を通さずに反社会的勢力の主宰するパーティーなどへの芸人参加の依頼を受け、これに参加した芸人らが一定の金銭を受領していたという、「闇営業」問題。芸能事務所を離れて個人でやることで、反社チェックが甘くなり(又は行わず)、ギャラを多くもらえる金銭欲も抑えられません。これは、芸能界特有の話ではなく、経営者にとって他山の石とすべき事案かなと思います。
日本政府は、多様な働き方を可能とする社会を目指して、「働き方改革」を重要政策の一つと位置付け、従業員の副業・兼業の普及促進を図っているのはご承知のとおりです。
今後、政府の思惑のとおり、副業・兼業を行う従業員が増えていくものと思いますが、その場合、会社の管理監督が彼らに行き届かないだろうことは想像に難くありません。
反社会的勢力の人間は、巧妙で不安や弱みに付け込むことが大得意です。もし副業をしている従業員が、彼らとビジネスをしたり、はたまたそれと知らず取り込まれていたりしたら…あくまで副業中の話だから、ということで自社に影響はないと言えるでしょうか?その従業員を雇用している企業名が、報道やSNSで出回ると、企業イメージや評判が下がり業績が悪化する危険性があります(いわゆるレピュテーションリスク)が、このリスクが大きくなることが予想されます。
これは今も同じですが、皆さん何かしらの対策はしておられるのでしょうか?考えたこともないという方、このご時世その感覚では
ヤバいです。
BisNavi201907月号掲載