ニュースをリスク対策に活かす
ここ2~3か月は、ワイドショーの話題にこと欠かない事件が立て続けに起こっている印象です。その中には、経営者が自社に翻って考えるべき事件も交じっているように思います。例えば、7月18日に発生した「京都アニメーション放火事件」、8月10日に発生した「常磐自動車道あおり運転暴行事件」、8月14日に発生した「佐野サービスエリア従業員ストライキ事件」などです。
京都アニメーションの放火は、とても痛ましい事件でした。報道によれば、数年前から作品への批判や社員への殺害予告が相次いでおり、警察や弁護士に相談したりするなどの対応をしていたといいます。たまたま事件当日の11時から取材が予定していた関係でセキュリティを解除しており犯人の侵入を許してしまったようです。せっかくのセキュリティシステムも解除してしまえば何の意味もなく、経営陣と現場従業員との間で危機管理意識の差があったのかもしれません。一瞬の油断で有能な人材を35人の喪ったことは痛恨の極みです。果たして、セキュリティ運用に例外を設けるべきでしょうか?
常磐自動車道あおり運転殴打事件については、経営者含め自動車を運転する者みんなが明日は我が身に降りかかるかもしれないとの認識を与えてくれた事件と言えるでしょう。
高速道路上に停車させられ、話し合う時間もなく殴られています。実際にこういう人間もいる、という前提で対策しておく必要がありそうです。話せば分かるなんて空想は捨てましょう。
本当に、一寸先は闇です。ニュースで流れる事件をただ消費するだけでなく、どんなことが起こるとどんな対応が必要になるのか、自社の中で見落としている・意識が向いていなかった部分はないか、できる対策やかけられるコストはいくらか、など少しでも自社のリスク対策に活かせる要素を見つけられるようアンテナを立てておきましょう。 リスク対策の要諦は、「考え得る最悪の事態は何か」という想像力にあります。
BisNavi201909月号掲載