行政廃棄物の転売事件
おけましておめでとうございます。私は、その時々の事件やTVドラマから事業経営のリスクとなり得るネタを取り、法律と絡めて記事を書いています。2019年は、バイトテロ、皇位継承、ドラマ「集団左遷」、副業解禁、闇営業、あおり運転、ストライキ、芸能人の申告漏れや薬物問題などがありました。今年も時事ネタを中心として気軽に読めるよう心がけますので、引き続きよろしくお願いします。
さて、新年一発目は、12月6日に報道された「廃棄物の転売」事件です。神奈川県庁のサーバーに使用されていた旧HDD(ハードディスク)のリース契約終了に伴う交換に際して、HDDの廃棄を委託されていたIT機器会社ブロードリンクの社員が、そのHDDを無断で持ち出しネットオークション(ヤフオク)で転売したところ、購入者が、納税記録などの超重要個人情報を記載した大量の行政文書を発見したという事件です。
逮捕された従業員によると、入社した2016年から転売を始め、転売した記憶媒体は3904個に及ぶとのことです。ブロードリンクは時間外労働や無茶な営業ノルマが蔓延しており、元社員や現役社員による労働基準監督署への駆け込みが絶えなかったという証言もあります。転売した従業員が悪いのはもちろん、会社も廃棄物を簡単に持ち出せるずさんな管理体制や過酷な労働環境の改善をしなかった点で問題がありますし、委託した神奈川県側も、契約に明記されたデータ消去証明書等の確認をしておらず、お粗末としか言いようがありません。総じて、当事者の誰もが「他人事」「無責任」だったと思います。
廃棄処分品や紛失物は、ネット上で気軽に売り買いされている現状があります。御社では、顧客情報や個人情報の管理は、どういう体制で行っていますか?よもや、社員の善意に委ねているなんてことはありませんよね?そもそも流出し得ない、流出しにくい、流出経路を追える、そんな仕組みを作ることが経営者の仕事かなと。
BisNavi202001月号掲載