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企業法務コラム

コロナ感染者に対する損害賠償自動下書き

令和2年10月28日現在、福岡県内の新型コロナウィルス感染症の発生状況は、患者数累計5202名、うち退院者5033名・死亡者101名・入院中68名と発表されており、10月28日までの直近1週間の陽性者数は38名ですから、福岡県においては、ほぼ収まってきているとみられます。ただ、ご存知のようにGOTOトラベル・GOTOイート・GOTOイベントなどの政府による経済政策が進められていますから、今なお予断を許さない状況です。

こうした状況下、「もし業務中に従業員が顧客に新型コロナウィルスをうつしてしまった場合、会社に何か責任は発生するのか?」「逆に、顧客から従業員がコロナをうつされてしまった場合はどうか?」などのご相談が寄せられることがあります。

従業員がコロナウィルスに感染した場合、事業者は保健所への報告が必要で、事業所内の消毒や感染者周りの濃厚接触者の自宅待機などを余儀なくされることがあるため、一時的な事業縮小や停止につながります。一度感染者を出してしまうと、風評被害による売上減少などが現実味を帯びますから、損害を誰かに賠償してもらいたいのが人情でしょう。

気持ちはわかりますが、結論から言うと、自分が新型コロナウィルスに感染していることを知っていながら外出した、又は濃厚接触者とされ自宅待機が必要にもかかわらず急用でもないのにあえて外出したなどの事情+その従業員又は顧客から直接感染したということを立証できない限り(だって、別の無自覚感染者から感染したかもしれませんから)、損害賠償請求が認められる可能性は低いです。

誰にも責任を問えないとなると、経済活動を継続するためには感染予防の対策がとても重要であることは明らかです。福岡県では業種別の「感染防止対策チェック項目」を発出していますから、最低限この内容は行うように徹底しましょう。

BisNavi202011月号掲載