法的リスクへの備え
世間一般的には、「新型コロナウィルス感染症」一色の年であったように思いますが、皆さんにとっては、今年はどんな一年だったでしょうか?
さて、2011(平成23)年8月号から始まったこのコラム「転ばぬ先の方の杖」ですが、今月号をもって卒業とさせていただきます。これまで記事をご覧になっていただいた皆さん、本当にありがとうございました。少しでも何かしらお役に立てたことがあったとしたら、これに勝る喜びはありません。
日々の司法書士の業務の中で、いらぬトラブルに巻き込まれている事例、知らなかったがために大変な損をしている事例、悪意なく法を犯している事例などをたくさん見ていますので、できるだけ時事ネタに沿う形で通常は気にすることのない法的な観点について解説を加えてまいりました。若造が書くことですからすんなり目に入ってこなかったり、説教臭く感じることがあったかもしれません。ただ、全ては、将来起こり得る法的なトラブルの芽を事前に摘んでおいて欲しい、情報を頭の片隅に残しておいて欲しい、と願ってのことですから、何卒ご容赦ください。
人間、その時が来て初めて、「あぁ気を付けておけばよかった、予防しておけばよかった、先に聞いておけばよかった」と後悔します。確かに、リスクに備えるのは大事だと皆さん頭でそれとなく理解はしていますが、目の前に迫っている危機ではありませんので、忙しい中どうしても対応行動の優先順位が下がってしまいます。それはよくわかりますので、せめて、①法的に大丈夫かと自分に問う自問行為、②リスクが顕在化した時にどうなるか考える想像力、③気になることを聞ける専門家とのつながり、を持っておいていただきたいと思います。
法的リスクに備える意識、大切です。
BisNavi202012月号掲載