社長が遺言しないと…
こんにちは。
相続と不動産分野に強い司法書士の井手誠@福岡市西区姪浜です。
今年の大河ドラマ「真田丸」に関する書籍を三冊購入しました。歴史好きの私は、歴史関係の本をたまに購入しますが、寝る前に読むことでリラックスでき、頭をリセットできるのです。大切な時間です。趣味は持っておくもんですね。
さて、今日は、私が経験した、ある会社の社長さんの遺言にまつわる話です。
遺言とは、死後において自分の意思を反映させることができる数少ない法的手段の一つです。必要だとは頭では分かっていると皆さんおっしゃるけれども、実際に遺言作成という行動に移す方は、数少ないものです。
税理士さんに紹介されてお会いした従業員20名ほどを抱えるその会社の社長さんは、60代前半の創業者で、会社の株式を100%保有していました。
後継者(子供がいなかったため親族外の社員)を育成中であるとの話を伺い、相続人調査したところ、親族関係が少し複雑なこともあり、もしものことがあったときに遺言が無ければ、株式や会社資産の相続の問題で会社の存続が危ぶまれる事態に陥る可能性があることが想定されました。
具体的にどういうリスクがあるのかを説明したうえで、人間は、いつどのようなことがあるか分かりませんから現時点でベターと思える遺言を早急に作成した方がいい旨を進言しましたが、理解は示すものの現在は元気だし、いずれはちゃんとしたものを作りたいとのことで、そのまま保留となりました。
そのことがあって半年後、社長の体調が思わしくないため病院で検査を受けたところ、処置できないほど病気が進行しており、即入院。余命宣告を奥様が受けたものの、内容は社長に告げられぬまま病床にありました。
連絡を受けた私たち専門家は、すぐさま遺言を作成しましょうと奥様に訴えましたが、当然と言えば当然のことながら、希望をもって闘病中の夫にとてもそんなことは言えないとおっしゃられましたので、それ以上強くは言えませんでした。
結局、何の手も打てないままその社長はお亡くなりになりました。懸念したとおり相続でトラブルに発展し、ごたごたした会社は業績が急激に悪化し、櫛の歯が欠けるように従業員も辞めていき、最終的には…残念な結果となりました。
遺言作成には、タイミングというものがあり、時機を逸すると大変なことになる典型例です。
普通に考えて、入院中に遺言を書けと周りの人間が言えるものではありません。年齢は関係なく、元気なときにまずは一度作成する、ことが肝要と思います。変更はいつでもできますから。
私自身も、もっと強く勧めておけばよかった、とか、説明の仕方が悪かったのではないか、など後悔しましたが、後の祭りです。
少なくともこの経験を良い方向に生かさないといけないと思い、それからというもの、危険度が高ければ、遺言の説明をしたその場でまず書いてもらう(自筆で)、ということを行うようになりました。
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