軽視できない労働トラブル
あなたにとって、従業員は、以下のどれにあたるだろう?
①俺が食わしてやってる下僕
②会社が儲けるための道具
③苦労を分かち合う仲間・家族
答えが③の方は、きっとこのコラムを読まなくても大丈夫だろうが、特に①②の方は注意が必要だ。
時勢を反映してか、執筆者事務所も含め、各専門家や相談機関に寄せられる労働トラブルの相談件数は増加の一途をたどっている。この世の中の流れを、敏感に感じとっているだろうか?
「賃金の支払いが遅れている」「残業代が支払われない」「突然解雇された」という従業員側の相談。会社側は、「業績不振で支払えない」「人件費を削らないと経営が成り立たない」という答え。事情は分からないでもないが、そうは言っても、従業員側からの労働基準監督署に対する法令違反の申告や裁判所への訴訟提起は止めようがない。もしそんなことになると、経営者や会社は、時間的・金銭的・精神的・信用的に多大な負担を被ることになる。
それを防ぐには、やはり常日頃から就業規則や三六協定の届出、賃金台帳、労働者名簿など諸規程や労働関係業務の流れを把握・整備し、証拠確保しておくことが大切である。便利な抜け道などはない。軽く考えているととんでもないことに…。例えば、司法書士や弁護士が残業代請求する場合、いきなり会社の銀行口座を押さえることがある。いざとなって痛い目を見ないように、専門家に少々費用を払ってでも、まともな労働管理を行うことをお勧めする。
まぁ、そもそも一番いいのは経営者の本心が③であり、日頃の言動に表れていることと思うのだが。
BisNavi201201月号掲載