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企業法務コラム

論より証拠

●A社の言い分

「当社は、B社・C社・D社・E社に対し、平成29年2月1日に、当社の商品をそれぞれ20万円で売り引き渡したのだが、今日まで誰も代金を支払わないので請求する。」

●B社の言い分

「当社は、A社から商品を買ったわけではない。A社に対し、取引先を紹介したことの謝礼としてもらったものだ。」

●C社の言い分

「当社は、売買代金をすでにA社の社員に直接手渡した。」

●D社の言い分

「当社は、A社から商品を買ったが、支払は商品引渡し時点から3か月以内でよいとのことだった。」

●E社の言い分

「そもそも商品の引渡しを受けていないから支払わない。」

事例を分かりやすく簡略化して書いてみましたが、読んでみて、皆さんは誰の言い分が正しいか判断ができるでしょうか?

神ならぬ私たち第三者では、果たして真実はどうなのか判断ができません。これは、裁判官でも全く同じなのです。当事者の方々は真実を知っているし、自分が正しいと思っているので軽々しく「裁判する」などと言い出しますが、タイムマシンでもない限り過去に起こった事実は証拠なしで判断することはできないのです。

仮に、この事例が裁判になった場合、例えば次のような証明が必要となります。

・A社はB社と売買契約をしたこと(財産権移転の約束+代金支払の約束)の証明

・C社はA社社員への代金支払の証明

・D社はA社と支払期限を3か月以内と合意

したことの証明

証明できなければ、その言い分はないものとして裁判では取り扱われます。まさに、論より証拠。この程度は経営者の教養として身につけておきましょう。もしものときに泣かないでいいように。

BisNavi201704月号掲載