証拠が全て
あけましておめでとうございます。本年も経営者皆様の役に立つコラムを執筆したいと思いますので、よろしくお願いします。
さて、だいたい年末は、トラブル系の相談が増えるのですが、ご多分に漏れず平成30年12月も「顧客が・取引先が・貸付先が、お金を支払ってくれない」といった相談をいくつかお受けしました。
当事者の方々は真実を知っているし、自分が正しいと思っているので、軽々しく「裁判する」などと言い出しますが、私がこうした相談を受けたら、裁判で勝てるか、回収可能性があるかについて必ず話をします。
裁判になった場合、裁判官は両当事者の言い分を、その言い分に裏付け、すなわち証拠があるのかに基づいて判断をしますから、とにかく証拠がとても大事になります。
次の事例を見てみましょう。皆さんは誰の言い分が正しいか分かりますか?
●A社の言い分
「当社は、B社・C社・D社・E社に対し、平成30年2月1日に、当社の商品をそれぞれ30万円で売り引き渡したのだが、今日まで誰も代金を支払わないので請求する。」
●B社の言い分
「当社は、A社から商品を買ったわけではない。A社に顧客を紹介したことの謝礼としてもらったものだ。」
●C社の言い分
「売買代金は、A社の社員に直接手渡した。」
●D社の言い分
「確かにA社から商品を買ったが、支払は3か月以内でよいとのことだった。」
●E社の言い分
「商品に不具合があったので支払わない。」
どうでしょう?当事者以外の第三者は、話だけでは真実を判断できません。これは、裁判官でも全く同じで、証拠なしで判断することはできませんから、証明できなければ、その言い分はないものとして裁判では取り扱われます。まさに、「論より証拠」。この程度は当たり前の知識として身につけておきましょう。もしものときに泣かないでいいように。
BisNavi201901月号掲載