自粛警察
ようやく緊急事態宣言が解除され、それまでの日常により近い形で生活や仕事ができるようになりました。この2か月、程度の差はあれ国民等しく不自由を体感しました。本当にお疲れさまでした。ただ、第二波がいつ訪れてもおかしくないため、まだ「自粛」は続きますので、自分や家族、従業員、取引先のためにも注意深く行動しましょう。
緊急事態宣言後に、行政による外出や営業などの自粛要請に従わない又は応じていないように見える個人や商店などに対して過剰に反応し、歪んだ正義感、不安感、嫉妬心などから私的に取り締まりを行う一般人(暇人)が一定数現れました。自分の意思で行動を慎む自粛なのに、匿名で他人の行動に干渉し無理矢理自粛に応じさせようとする行為は、どうにも卑怯で不快感しかありません。
もし不幸にも自粛警察に攻撃された場合、彼らの行動は、軽犯罪法、威力業務妨害罪、強要罪、侮辱罪などの罪に問われる可能性がありますし、民事でも不法行為に基づく損害賠償請求を受けることになりますので、しっかり証拠を残しておくようにしましょう。
それはそれとして、石川県の山代温泉街の温泉宿「森の栖」が面白い宿泊プランを立ち上げているのはご存知でしょうか?その名も「自粛警察の皆様お疲れ様です!プラン」。そのリード文が振るっていますので、読んだことのない方はぜひご一読をお勧めします。
正義の組織「自粛警察」と持ち上げつつ、必殺技の「スローストーン」「ハリガミカッター」「テレフォンサンダー」「SNSファイヤー」を駆使して取り締まる、とユーモラスに皮肉を込めていて、そんな正義感あふれ出し過ぎている自粛警察の皆様に安らぎを提供して丸くなってもらい、最後には宿泊代の50%を医療従事者とその家族に寄付をすると締めくくられていて、とても好感が持て上手だなと感心します。
大変な状況なのは誰も同じなので、他人の事情を慮って優しくありたいですね。
BisNavi202006月号掲載