ラピス司法書士事務所 | 福岡市西区姪浜

ラピス司法書士事務所 お問い合わせ
お問い合わせ

企業法務コラム

経営者保証に関するガイドライン③

現在の中小企業経営者は、そのほとんどが法人の借り入れに対する保証をしているはずである。したがって、今回は、ガイドラインの中でも現経営者が関心を持つはず?の「既存の保証契約の適切な見直し」について少し詳しく見ていくこととする。

今年2月1日から施行されたガイドラインであるが、ありがたいことに、この日以前の保証契約も守備範囲となる。つまり、ガイドラインの要件に当てはまれば、保証契約の変更や解除など(見直し)を金融機関に申し入れることができるのである。

では、この要件とは、何であろうか?ガイドラインに書かれていることを挙げると、申し入れ前に、以下の3つの経営状況を作り出すことが必要とのことである。

  • 法人と経営者との関係の明確な区分・分離

法人の業務、経理、資産所有などについて、法人と個人をはっきり分けることと、代表者貸付や役員報酬について、社会通念上適切な範囲にすること、こうした体制の整備や運用について外部専門家による検証を実施し開示すること、の3点。要するに、不当に会社の財産が個人に渡らないようにせい、ということ。

  • 財務基盤の強化

財務状況や経営成績の改善を通じて返済能力の向上により信用力を強化すること。要するに、事業収益で返済できるように経営せい、ということ。

③財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保

法人や経営者の資産負債の状況、事業計画、業績見通し、その進捗状況について情報開示を要求されたら、信頼性の高い情報を開示・説明すること。

以上の要件を満たす保証契約の見直しの申し入れがあった場合、金融機関は、改めて保証の必要性や保証金額について柔軟に検討し、その検討結果を具体的に説明することが求められている。これは非常に大きい。

経営に絶対はない。だから、もしものときに、家族が路頭に迷わなくてすむよう備えておくのも大事だ。この機会に会社経営を改善し、見直し申入れをチャレンジする価値はあると思うのだが、いかがだろうか。

BisNavi201406月号掲載