ラピス司法書士事務所 | 福岡市西区姪浜

ラピス司法書士事務所 お問い合わせ
お問い合わせ

企業法務コラム

粉飾決算をしたら…

社会的に大きなインパクトを与えた格安旅行会社「てるみくらぶ」ですが、今年3月27日に自己破産を発表し、山田千賀子社長はその時に「自転車操業のつもりはなかった」と釈明していました。

その後、11月6日の債権者集会で破産管財人の調査結果が明らかにされ、3年前の2014年9月期には債務超過(平たく言うと、会社の全財産を換金しても借金を返せない状態)に陥っており、運転資金を調達するために赤字商品の販売を続けた結果、2015年1月以降は月次の粗利益が全てマイナスの状態になったといいます。また、過去7期分の実態(粉飾前のもの)と粉飾による貸借対照表と損益計算書が示され、粉飾決算を繰り返していた事実が明らかになりました。

結果として、3万6046件もの被害者を生み出し、彼らに99億2352万円もの被害を与えました(東京商工リサーチ調べ)。

粉飾決算は、比較的簡単に手を染めがちな犯罪だと個人的には思いますので、もし粉飾決算を行うとどんな責任が生じるのかくらいは、少なくとも知っておくべきでしょう。

役員が負う責任は、大きく民事責任と刑事責任に分かれます。民事責任は、まぁお金の問題、すなわち損害を与えた会社や第三者(取引先や顧客など)に対する損害賠償責任です。刑事責任は、例えば、違法配当罪、虚偽文書行使等の罪により5年以下の懲役・500万円以下の罰金、特別背任罪により10年以下の懲役・1000万円以下の罰金が科されることがあります。粉飾決算に基づく決算書を用いて銀行から融資を受けていた場合は、詐欺罪を構成することも考えられます。前科が付き、人生が一変するかもしれません。

怖いのは、粉飾決算に直接関与していなかった役員で、取締役相互は監視義務・監査役は監視監督義務を負っているため、同時に責任を追及されるおそれがあります。名前だけ役員に入っている方、いませんか?大丈夫ですか?

BisNavi201712月号掲載