海外進出の法的リスク
昨今、日本企業の海外進出が増加しています。
儲かりそうだから、と安易に手を出す経営者もいらっしゃいますが、日本国外、特にアジア新興国においては、様々な法体系が存在することから、日本では考えられない思わぬトラブルに見舞われることがあり得ます。トラブルを防ぐためには、法務リスクのマネジメントが、より重要となるのはご想像のとおりです。
新興国では、スムーズな取引や便宜を図ってもらうために、現地公務員に対する贈収賄がありがちですが、近年これに対する摘発・厳罰化が相次いでいます。汚職に加担したとなると、企業の信用やブランド価値を落としてしまうため、このリスクへの対応は必須です。では、どのように贈収賄リスクをマネジメントすればよいのでしょうか?
まずは、以下に従って危険性の度合いを計ることが肝要です。
1.国や地域
2.贈収賄を規制する法制度
3.業種
4.取引規模
5.取引内容
海外進出の折や事業展開の際に、よく分からないからといって、現地のコンサルタントや現地コンサルタントと提携している日本企業と契約を行うケースがありますが、報酬の一部が現地公務員の手に渡るなど、知らず知らずのうちに、贈収賄に加担している可能性がありますので注意が必要です。各国の当局は、コンサルタント等第三者を通じた贈賄に目を光らせていることを念頭においておきましょう。
紹介者は誰か、報酬の多寡、業務内容、業務内容と報酬の対応関係などをしっかり見極めることが大事です。
BisNavi201509月号掲載