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企業法務コラム

権利の上に眠る者は、これを保護せず

「時効(じこう)」という言葉を聞いたことはあるが、内容を知っているか?と問われれば、そう知っているわけでもでもなかったりする。

時効とは、ある事実状態が一定期間継続したことによって、法律よりも事実関係を優先させてしまう制度だ。

大きく分けて2種類ある。一つは「取得」時効、これは例えば20年間不動産を占有し続けていると、本来所有者ではないのに権利を取得する、といったものだ。二つ目は「消滅」時効、これは例えば、ある会社に対する売掛金があるのに放置していて権利が消えてしまう、などである。

会社の経営をしていく上で、どちらが大事かと言えば、「消滅」時効の方であろう。担当者が気づかぬまま請求漏れを起こしていたなんて話は結構あったりするものだ。

では、そもそも時効は何年なのか?権利の種類ごとに異なったりするので、原則と例外をいくつか挙げてみよう。

【原則】商行為に基づく債権は、5年間

【例外】ホテル等の宿泊料や飲食料、運送料は、1年間。商品の販売に関する売掛金は、2年間。工事の請負代金は、3年間。など。

「時効だから支払いません」と消滅時効を主張すると、そんなことは知らなかったとか支払うのが人の道だ、と言う方がおられる。だが、権利行使できる期間に何も対処せずに手をこまねいていたのだから、権利を持っている側にも責任がある。つまり、権利というものは「主張」「行使」しないと、「その権利は必要ないんだね」と法律も守ってはくれないということである。

御社でも、消滅時効を主張されることがないよう、自社の権利についてきっちり時効管理しておこう。法は、権利の上に眠る者を保護しないのだから。

BisNavi201207月号掲載