朗報!売掛金等が回収しやすく
新型コロナウィルスの猛威はとどまることを知りません。オリンピックは1年程度延期となり、東京では感染者が増え続け、政府は緊急経済対策で現金や商品券の給付を検討中のようです(3月27日時点)。
さて、そんな中、4月1日から改正民事執行法が施行されました。普段なじみのない法律かもしれませんが、中小零細企業にも影響の大きい改正がなされています。
通常、売掛金(売買代金やサービス代金など)や貸付金があっても、相手方が任意に支払ってくれなかったら、最終的には裁判をして判決を得てから強制執行(預貯金、給料や不動産などの差押)をする必要があります。
勝訴判決を得れば裁判所が強制的にお金をむしり取ってくれる、などとよく誤解されていますが、実際にそういうことはなく、強制執行の申立の際に「●●銀行●●支店に対する預金債権」「所在地番●●の土地」などのように相手方の財産を具体的に特定する必要がありました。しかし、普通は相手が持っている財産のことなど知りません。ですので、今まではせっかく勝訴判決を得ても泣き寝入りせざるを得ない、相手の財産がわからないために訴訟そのものを躊躇するというケースが多くありました。
そこで、今回、相手方への強制執行をしやすくするために、①財産開示手続が拡充(罰則強化・申立権者拡大)され、また②不動産・給与・預貯金に関する情報取得手続が新設されました(←ここが非常に大きい)。
国は、自分で強制的に相手からお金を徴収することを禁じて、裁判所を通じた手続による徴収を規定しておきながら、勝訴判決を得た当事者だけが厳しい現実に直面せざるをえませんでしたが、ようやく泣き寝入りをしなくてもよくなるような実効性のある規定ができました。
もし紙切れだけの判決を持っておられる方がいらっしゃったら、強制執行を検討してはいかがでしょうか。ただ、財産を持たない相手方からはむしり取れませんので、その点は注意が必要です。
BisNavi202004月号掲載