役員解任!!
社長や株主だって、人間。自社の役員に対して、どうも気に食わないとか思ったよりも活躍してくれないから辞めてもらいたい、なんてこともある。でも、それとなく言っても辞任はしないし、はっきり言ったら拒否された。一体どうすりゃいいんだ??とお悩みの方がいるとかいないとか。
確かに、「解任」の二文字があると会社の信用に傷がつきかねないので、そもそも解任などしないに越したことはないのであるが…いざというとき、役員は、いつでも株主総会決議によって解任することができる(会社法339条)。その役員がどう思おうが、適法に解任決議をしてしまえば、役員でなくなる。
これだけを読むと、ことは簡単だが、気をつけなければならない点が、実はある。大きくは次の2つ。
①会社法339条2項(解任された者は、解任に正当理由がある場合を除き、解任によって生じた損害賠償を請求できる)
②株主総会開催やその決議の適法性
損害賠償さえ覚悟すれば①については耐えられる?かもしれない。意外と見落としがちなのが②だ。筆者も裁判で携わったことがある実話だが、ここを押さえておかないと、解任決議は「無効」となりかねない。
迅速かつ適法な株主総会を行うため、事前に「定款」に手を加えておくことで有効な対策が打てることが多い。解任で言えば、任期や決議要件・召集などが挙げられるだろう。
ちょっと賢い方なら、「ん?そうすると解任しようと思ったときに適法な株主総会を開いて損害賠償額が最も少なくなるように役員任期を短縮すればよいのではないか?」と思うことだろう。これは、実際にやった方がいて、案の定争いになったのだが、裁判所の判断は「もともとの任期で計算しなさい。」というものでした。そんなに恣意的にできてうまい話はない、ということだ。
それにしても、いざというときの役立たず「ひな型定款」を用いている会社はたくさん存在する。だいたいは会社設立後何のメンテナンスもなされずに放置されていることが多い。リスク回避のためにも、ぜひ一度御社の定款をチェックすることをお勧めする。司法書士は、会社法の専門家であるので、お気軽にどうぞ。
BisNavi201109月号掲載