専門家の使い方は
いつも法律に関する話なので、今回はちょっとテイストを変えてみます。
最近、経営者が2名相談に来られました。
両社とも取引先とのトラブルを抱えており、訴訟を検討しているが、証拠と呼べるものがほとんどないという事案でした。
お一人はインターネットで情報を集めていたらしく、法的観点から見た私の説明や助言をいちいち遮り、それは違う、こう書いていたからこうすることもできる・考えられるのではないか、と言ってきます。しかし、情報はカンタンに集められるようになっているけれど、集めた情報が不確かなものであったり、古いものであったり、自分に都合のいい情報だけ信じてしまったりすることが往々にしてあります。まさにこのパターンでした。
もうお一人は、私の説明や助言を静かに聞き、上手くトラブルを解決するために知恵を貸してほしいと言います。
どちらの方に力添えしたいと思いますか?
正直言って、専門家も人間です。最初の相談者の場合、相談に対する回答について、最低限の情報だけ伝えればいいかと頭をよぎりますし、聞く耳を持たない人のために頑張りたいとは思いません。せっかく相談に来られたのですから、私から上手にたくさんの情報を引き出せばいいのに、実にもったいなぁと思います。後の相談者の場合、相談が終わった後に頼まれてもいないのに判例等を調べ、何とか解決の糸口を見つけることができました。当方は、確実に赤字です。でも、そんなこと気になりません。
これは相談段階の話ですが、依頼段階でも専門家の使い方が下手くそな経営者はたくさんいます。費用を安く、スピードも速く、だけど品質は高く、を求めますが、そんなサービスはごくごくわずかでしょう。
御社のために報酬以上の情報をもたらしてくれたり、他社と繋げてもらったり、一生懸命仕事をしてもらうには、どうしたらいいか一度考えてみることをお勧めします。専門家の見極めも大事ですけど…
BisNavi201703月号掲載