ラピス司法書士事務所 | 福岡市西区姪浜

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企業法務コラム

契約書は何のため?

最近、契約書や合意書の類に関する問い合わせが多く寄せられています。例えば、契約や合意の前段階でのお問い合わせの場合、契約書を作って欲しい、先方から送られてきた又は自社で作成した契約書をチェックして欲しい、有利な内容にするにはどうしたらいいか知恵を貸して欲しい、このことを行うのに何か書面を残しておいたほうがいいのか意見が欲しい、などです。

上記のとおり、契約書の作成を要望されることもありますが、私は基本的に、インターネットで検索した契約書ひな型を使用したり、社内にある別の契約書を参考にしつつ、まずは自社で作成してみることをお勧めしています。ひな型を参考にすること自体はぜんぜん悪いわけではなく、むしろ時間短縮・内容の遺漏防止のため有効に活用すべきです。ただし、ひな型は、より多くの利用者に多くのシチュエーションで参考となる見本として価値があるものですから、一般的・抽象的・契約当事者で対等な内容が定められていることが多いことだけは注意しておきましょう。契約は、その事情や背景、置かれた立場が異なりますので、ひな型のまま内容の検討すらせずに利用することには、リスクが潜みます。

ところで、契約書・合意書・念書・同意書などの類の文書はなぜ作成するのでしょう?

一度その理由を経営者がしっかり考えておくと、その取引先や顧客との間で作成するべきなのか、作成するとしてその程度はどうするのか、何に注意しておけばよいか、その取引でどの程度リスクを取るのかなどは自ずと明らかになってくるでしょう。

職業柄、取引先や顧客とトラブルになった後に契約書等の文書を拝見しますが、残念なものであることが多々あります。後から発生するかもしれない不利益を予測し、備えておくことも経営者の役割と思いますが、いかがでしょうか。

BisNavi201812月号掲載