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企業法務コラム

地震が発生!労務への影響は?

4月14日以降、熊本県及び大分県で連続して大きな地震が発生しています。日本全国から各種の支援が集まっていますが、復興まではまだ時間がかかるものと予想されます。

こうした大きな地震が発生した後、復興又は廃業に向けて企業は様々な局面を迎えますが、労務の観点から考えられる影響を見てみます。

1.従業員の休業

震災により大きな損害が生じ、企業が操業停止に陥った場合には、従業員に対し休業を命じる必要があります。この点につき、「使用者の責に帰すべき事由」に該当しない(例えば、地震などの不可抗力)なら、休業手当を支払う義務はありません。ただし、適切な震災対策を取っていなかったことによって従業員に休業を命じなければならない事態に陥ったとしたら、平均給与の100分の60以上の休業手当を支払う必要が出てきます。

2.従業員の労災

従業員が勤務中に被災した場合、いわゆる業務起因性(けがと業務に因果関係がある)がないため、原則として労災の対象にはなりません。ただし、例外があり、仕事のために特に天災に遭いやすい状態にあった場合にはその程度により業務起因性が認められ労災の対象となってしまいます。

3.従業員の労働時間

企業の継続や復興のためには、従業員に対し決められた労働時間以上に働いてもらわねばならないかもしれません。こうした場合、行政官庁の許可を得るか又は労働組合か労働者の過半数を代表する者との書面による協議を経て行政官庁に届出を行うことで、臨時的に労働時間の延長や休日労働を命じることができるようになります。

以上、労務の観点からどんな影響があるかその一端をお伝えしました。地震対策は、発生時期も規模も予想が極めて困難です。しかし、一度適切な対策を講じてしまえば、ずっと使えるものですので、もしまだ何も手を付けていないところがありましたら、一度検討することをお勧めします。

BisNavi201605月号掲載