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企業法務コラム

取締役が負う義務とは?

D社やO社の問題が紙面を賑わしている。いずれも、コーポレートガバナンス(企業統治)に問題があり、見直し・改善による企業経営の透明性の確保が求められている。従業員にコンプライアンス(法令遵守)を求める立場の役職(取締役)が変なことをやっていると会社が危なくなるのは自明の理である。

ご存知ない方もいらっしゃると思うので、ここでは法律上取締役が負っている様々な義務について簡単に取り上げてみる。

取締役は、大きく①善管注意義務(取締役として通常期待される程度の注意を払って職務を遂行する義務)②忠実義務(会社法その他の法令・定款・株主総会決議を守り、会社のため忠実にその職務を遂行する義務)がある。

具体的には、自分や第三者の利益のために自社と競合する取引を行ってはならないとか勝手に自社からお金を借りたり、自分の所有物を売買してはならない、業務執行にあたる他の取締役の経営姿勢に監視の目を光らせておかなければならない、日頃から会社の現状をよく把握しておかなければならない、などである。もし、これらの義務に違反して、会社や第三者に損害を与えた場合、損害賠償というかたちで責任を問われることになる。

上記の観点からすると、果たして冒頭のD社やO社の取締役はどうなのだろうか?

そのことはさておき、取締役の負う義務は大企業だろうが中小零細企業だろうが全く関係ない。会社規模が小さいから、などといった甘えは許されないのである。このことを踏まえたうえで企業経営に力を尽くしていただくことを願う。

BisNavi201112月号掲載