勤務中の私用メールはダメ?
会社の業務用のパソコンを使って、全く業務と関係のない用件で、家族や友人知人と連絡を取ってしまう、インターネット接続状況を利用して、フェイスブックのタイムラインを眺めたり、ショッピングしてしまったり…そんな従業員は、はっきり言って、多いと思います。
報道されているように、従業員のパソコンからウィルス感染したり、営業秘密や顧客情報が漏れたりすることもあり得ますので、最近では私用メールの送受信を会社側でコントロールする動きも広がっているようです。
私用メールが元で上記のようなことが起こってしまった場合、経営者の皆さんがその従業員を懲戒したくなるのも、私も経営者の端くれですので理解できなくはありません。
しかし、懲戒は法律上許されるのでしょうか?裁判例を見てみますと、第三者からアドレスを閲覧可能な状態にしたことで、会社の対外的名誉や信用を傷つけるものだから懲戒解雇やむなしとした事例や1日に1~2通程度の使用メールを送受信しても職務専念義務に違反しないとする事例などがあります。ただ、その会社の就業規則で、たとえ1通でもアウトであるときっちり定めたならば、職務専念義務違反に問えるものと思われますので、そうした文言があるか点検されてはいかがでしょうか?
一方、会社が従業員の私用メールを監督する目的で、メールチェックする行為は許されるのでしょうか?この点、件名を見て勝手に開いて見る行為は、手紙を勝手に盗み見るのと同じコトですから、プライバシーの侵害とも言われかねませんね。裁判例では、業務に必要な情報を保存する目的で行われた会社のサーバー上の調査であり、調査する合理的目的がある場合は、プライバシー権を侵害する違法行為とは言えないと判示しているものがあります。
従業員が私用メールをしていたら頭にくることもあると思いますが、注意ならまだしも、懲戒解雇など法律行為を行う場合は、必ず専門家にご相談ください。
BisNavi201508月号掲載