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企業法務コラム

休眠会社の売買

5月21日の朝刊各紙に、「休眠会社の不正売買」に関する記事が記載されたようだ。

休眠会社を転売する目的で、違法に法人登記を変更したりするなど、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで経営コンサルタント会社社員等が逮捕された。広島県警によると、この会社は休眠会社売買を中心に事業展開し、転売した会社のうち35社が特殊詐欺事件に悪用されたという。容疑者は、虚偽の臨時株主総会議事録を作成し、法務局に提出、登記をしたため、司法書士法違反の容疑もかけられている。

新しく会社を持つには、大きく分けて自分で設立する方法と既存の会社を買い取る方法の2つある。新規設立する場合は、会社法上定められた手続きを行う必要があり、一定の時間と費用がかかる。一方、会社を買収するには株式を取得すれば足りるため、上場会社を除き、特に手続きは定められておらず、また費用についても、株の売買代金以外は定款変更等しない限り必要ない。

登記はしているけれども実際は何ら営業等していない休眠会社は多く存在し、売買で安く手に入ることが多いため、新規に会社を作るよりも一定程度メリットがあるのは確かだ。しかし、休眠会社の買収は、会社の中身が全く分からないため、いろんなリスクが考えられ、かなり慎重に行わなければならず、あまりお勧めできる方法ではない。

また、会社の登記をする際に、ひな形等を使えば簡単にできそうであるが、実は登記の背後には会社法等の諸規定が潜んでおり、記事にもあるとおり虚偽の書類を作成して登記をさせると、逮捕もされてしまう。司法書士以外の者が登記をするのは、危険が伴う。

以上のことを知っておくと、きちんと登記がされているか、その内容に不審な点はないのか、取引先の登記簿謄本を調査する際に有用だ。もし登記簿の見方がわからないときは気軽に筆者まで問い合わせを。

BisNavi201306月号掲載