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企業法務コラム

代表取締役の解任

「前社長が死亡した後に、その息子が代表取締役となる登記手続きを勝手に行った」

「代表取締役が会社のお金を使い込んでいるみたいだ」

「代表取締役に経営を任せていたが、役員報酬は高いのに、会社は赤字の状態である」

背景は違いますが、2月に入って、たまたま同じような相談が続きました。要するに今の代表取締役をこのままにしておくと支障があるから何とかしたいという話です。

その代表取締役が自主的に辞任するのが一番望ましいですが、当然そんなことはなく又は期待できないので、法的にどげんできるとや?ということになります。

株式会社は、株主が株主総会で取締役を選任します。同じように解任(取締役の地位から強制的に退かせること)も株主総会で行うことができます。しかしながら、法的観点から見ると容易なことではなく、注意すべき点が多々ありそうなのは想像できるでしょう。

合法的に解任するためには、法律に則った手順を踏んで株主総会を開き、決議することが求められます(手順に則ってないと後から無効になる)。株主総会は、まず招集するところから始まりますが、少なくとも確信犯的に冒頭の悪事?を行っている代表取締役は抵抗を示し株主総会を開きません。そうすると、株主は裁判所に招集許可申立を行い、許可決定を得て自分で株主総会を開く必要が出てきます。なお、ここまでで数か月は経過しています。

結果としては、決議できるほどの株式を持っている株主であれば、代表取締役を解任することはできます。ただし、代表取締役がしでかしたことの責任追及(損害賠償請求)は別問題ですので、分けて考える必要があります。

実は、この解任手続、定款が重要な役割を果たします。他人に経営を任せようとする方は、万一何かあったときに迅速に対応できるような定款に最初からしておくことをお勧めします。

BisNavi201603月号掲載