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企業法務コラム

ネット上の悪意に対峙する

昨今、ネット上でトラブルに巻き込まれる企業が増加傾向にあるようです。先日ある会社から、「ネット上で自社の検索をしてみたら、誰かが一方的に自社のサービス、商品のことや顧客対応のことなどで批判的なことを書いているのを見つけて困っている」という内容の相談を受けました。書かれているような顧客対応などは一切しておらず事実に反する内容で、明らかに嫌がらせだと分かるということでした。

今や、ネット上で誹謗中傷された(根拠なく罵り貶めたり、悪口を述べること)というのは珍しくありません。怖いのは、悪い評判ほど一度出回ると消すのが難しいという点です。じわじわと広範囲に広がったものを消すには莫大な時間と労力を要することになるうえ、たとえ対処を行ったところで本当に根絶できたという保証はありません。

このようなことから、ネット上で書かれたことは消せないため鎮静化するまで放っておくしかないと言われることも多いですが、放置という対応は適切とは言えないでしょう。ネットで得た情報は世代が若くなるほど信じやすい傾向にあり、企業や商品等を検索した際にネガティブな噂がある以上、火のないところに煙は立たないということで、そういう企業だと捉えられてしまいます。

ですから、企業の評判を落とす書き込みに対しては、片っ端から対応する必要があります。基本的には、サイト管理者やサーバ会社などにオンラインフォームやメールで削除依頼をすることになります。送信防止措置依頼書を郵送することもできます。また、書き込んだ本人を特定するためプロバイダ責任制限法に基づく「発信者情報開示請求」も並行してやっておきたいところです。他に、削除仮処分という裁判手続きも検討できるところでしょう。

面倒とは思いますが、放置していても社会的不利益を受けるだけですので、真正面から対峙して戦うのが吉です。

BisNavi202002月号掲載