そこと取引しても大丈夫?
ある会社と新規取引を始めるにあたって、皆さんは相手方の会社の信用調査をきちんと行っているだろうか?
中小企業の経営者から、「何もしてない」とか「人からの紹介だから」とか「今まで問題なかったから大丈夫よ」などの言葉が返ってきて愕然とすることがある。相手方名刺の住所を調べるとそこに会社そのものがない、代表者が別人だったという嘘のような本当の話も幾度か経験した。まさか、名刺に代表取締役と書いていた、HPを見ただけで信用したと言う方はいないとは思うが、『危ない会社』を見分けるために少しはコストをかけて調査し、リスクヘッジする必要がある。
では、どういった調査が必要か。簡単に言うと、まずは、インターネットで下調べし、次に国が公開している登記簿関係を調査、最後に実地調査という流れが自然だろう。
実地調査は、数十もの確認項目があるため他日に紙面を譲るが、登記簿関係の調査は、国に登録されている様々な内容(会社・不動産・債権・動産の基本情報)を簡単に引き出すことができるので、お金はかかるが利用しない手はない。法的な裏付けのあるデータをしっかり分析しよう。例えば、会社登記簿のチェックポイントをいくつかあげると、①社名変更が繰り返されていないか②頻繁に本店移転していないか③事業目的に相互関連性があるか④資本金の増減はあるか⑤役員変更の頻度や就任退任の事由は何か、などがある。いずれも、あくまで『危ない会社』の予兆を捉えるものでしかないが、知っているのといないのとでは雲泥の差がある。
信用性の裏付けを取った上で取引を開始しよう。なぜなら、大事な会社・従業員・家族を守るのは、経営者の「あなた」だからだ。
BisNavi201111月号掲載