未払いの残業代はないか?
皆さんご存知のとおり、ここ数年、各種メディアで残業代を支払わない会社の存在が問題視されています。確かに、法律相談の現場で、少なくとも私がサラリーマンの時代と比べて、格段に労働者側の権利意識が強くなっていると感じます。インターネットにより情報を簡単に取得できるようになったため、我慢せず自分の権利として未払い残業(サービス残業)代の支払を求める人が増え、これを手助けする司法書士・弁護士等の法律専門家も増加の一途をたどっています。
未払い残業代の発生の原因は、
・労働時間を管理していない
・必要な文書の作成や届出をしていない
・労働時間が週40時間を超えている
・割増賃金の計算が間違っている
・年次有給休暇の管理を行っていない
・管理者の地位にない者を便宜上管理職としている
など多岐にわたります。 適切に残業代を支払わないと、例えば、法で認められている過去2年分の残業代を請求され、それと同額の「付加金」の請求を受ける、つまり本来の残業代の倍額を支払わなければならなくなることが考えられます。しかも、その話を聞きつけた他の従業員からも請求されることもあるかもしれません。さらに、支払いを遅延しているわけですから、遅延損害金14.6%を請求されたり、慰謝料を請求されたりもします。法律専門家が入ってくるとこうした事態が起こり得ます。想像しただけで頭が痛くなりますね。あと、あまり知られていませんが、時間外労働等の不払いについては、6か月以下の懲役・30万円以下の罰金という刑事罰の規定もあります。
私も小さいながら一経営者なので、皆さんのご苦労はお察ししますが、残業代の未払いはこじらせると厄介な地雷がたくさんありますので、少なくとも従業員が今何も言っていない、という現状に甘んじることだけは、やめておきましょう。
BisNavi201604月号掲載