伝家の宝刀?絶縁届とは
こんにちは。
相続と不動産に強い司法書士の井手誠@福岡市西区姪浜です。
気が付けば、あと2週間で今年も終了ですね!
1年間楽しんだ大河ドラマ「真田丸」が終わって、少々寂しいです。
草刈正雄さん演じる真田昌幸、小日向文世さん演じる豊臣秀吉、近藤正臣さん演じる本多正信が印象に残っています。
さて、どこの局かは分かりませんが、テレビで「姻族関係終了届」のことが放送されたようです。その放送を見た過去の依頼者からお問い合わせがありました。
「姻族関係終了届」ご存知ない方が多いと思いますが、実はあるのです、そういうものが。別名「絶縁届」(もちろん、正式な名称ではありません)。
私も、昔、たまたま相続後に「同居している義理の母と縁が切りたい」という相談を受けたことがあったので、調べて知ったというレアなものです。
日本の法律では、結婚すると、配偶者の両親や兄弟などとは、「姻族」という親族関係になります。配偶者と離婚すればその親族関係はなくなりますが、死別の場合は、配偶者の舅や姑、兄弟姉妹とは、当然のことながら親族関係が続いてしまいます。
そうすると、皆さん気になるのが、特に配偶者の舅や姑を「扶養する義務があるのか?」という点です。
民法には、以下のような条文があります。
第877条(扶養義務者)
1.直系血族及び兄弟姉妹は、互いを扶養する義務がある。
2.家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3.前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
舅や姑は直系血族ではありませんから、当然1項には該当しません。しかし、2項は該当する可能性がありそうです。だって、三親等内の親族(姻族)ですから。
しかも、同居していると、民法第730条の定める「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。」にも該当します。
「姻族関係終了届」を提出すれば、法律上の親族ではなくなりますから、こうした扶養義務・互助義務といった事態を避けることができます。
しかも、①誰の承諾もいらず自分一人で自由に決定できて、②手続きも簡単、そして③相続権も無くさない。
「姑にずっといびられた」「顔も見たくない」などの心情をお持ちの方からすると、状況をひっくり返す夢のような届出・手段です。
実際に出すか出さないかは、熟考の上で、となるでしょうが、こうした手段があることを知っておくことは、心の平安をもたらすかもしれません。
推奨しているわけではありませんので、誤解なきよう。
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