遺言執行者による不動産の名義変更にご注意を。
こんにちは。福岡市西区の司法書士井手誠です。
毎年、なぜかありがたいことに8月は忙しいです。
そんなこんなであっという間に暑い夏が過ぎ、夜は秋風を感じています。
たまに、他士業(弁護士・行政書士・税理士さんなど)の先生から、以下のようなケースで、不動産の名義変更に関するお問合せをいただきます。
●お亡くなりになった方がいらっしゃる
●その方が遺言を書いておられる
●その遺言で、その士業の先生が遺言執行者(遺言の内容を実現する役割を担う人)である
質問;「登記委任状に押す印鑑は、認印で良いですよね?」
回答;「はい、大丈夫ですよ。ただし、遺言で不動産を相続される方から委任状をいただく必要がありますので、ご注意ください。」
はい、ここ、専門家の間でもかなり誤解が多い部分です。
遺言で「相続人Aに、これこれの不動産を相続させる。遺言執行者としてYを指定する。」などと記載されていた場合、遺言執行の範囲(職務)の一つとして不動産の名義変更も司法書士に依頼できそうな感じがしますよね。
でも、実は、遺言執行者の委任状で相続による名義変更を行うことはできません。
平成3年4月19日の最高最判例や『登記研究』(登記実務家の専門誌)によれば、「遺言者である被相続人の死亡により、直ちに、被相続人の遺産が相続人に承継されるので、遺言執行者が執行をする余地がなくなるため」と捉えられています。
司法書士の中では有名な論点ではあるのですが、他士業からすると、「えっ!そうなの?」となりますよね。
このことを知らないと、遺言作成の支援の折に誤った説明をしてしまいかねませんので注意した方がよいでしょう。
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