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相続

遺産分割協議前の預金の引き出し①

こんにちは。福岡市西区の司法書士井手です。

これまで様々な相続手続を行ってきましたが、とりわけ融通が利かず(それ自体
悪いわけではないですが)、時間がかかり、何度も足を運ぶ必要があるなど面倒なのが
預貯金の相続です。

今日は、よく質問がある相続開始後の預金の引き出しについてです。

Q:親が亡くなり、遺産は銀行の預貯金だけです。
事情があって、遺産分けの話し合い(遺産分割協議)より前に、法律で
  決められた相続分にしたがって、自分の分を引き出したいと思って
いますが、大丈夫でしょうか?

A:結論から言うと、銀行によって対応が違います。
ただし、私の経験上、福岡市内のほとんどの金融機関で法定相続分だけの
引き出しは行うことができません。

窓口では、

・銀行所定の書式を提出してもらう必要がある
・必要書類が調っていない(遺産分割協議書や印鑑証明書)
・相続人全員の実印が必要だ
・銀行の内規で、遺産の一部の引き出しはできない

などと言われますが、要は、簡単に引き出しに応じて、後から銀行が相続争いに
巻き込まれることを事前に防ぐ意図があるのです。

確かに、後から遺言書が見つかり、預貯金を誰かに相続させる内容に
なっていたとしたら、たとえ銀行に責任はないにせよ、その相続人が怒鳴り
込んできたり、銀行を訴えたりする可能性が無きにしも非ずです。

理由はある程度理解できます。

とまぁ、ここまでは現実に行われていることとその理由を書きましたが、
では、法律上はどうなっているのでしょうか?

実は、法律や判例と上記の銀行実務(慣行)とが、あまりにもかけ離れて
いるため、早く現金を手にする必要がある相続人が不満を持つことが
少なくありません。

少し長くなりますので、法律や判例の説明は次回まとめます。